ホピ族について、ちょこちょこ調べはじめたのがきっかけで、
ネイティブアメリカンの生活環境などのことを、もう少し知りたくなりました。
ネイティブアメリカンについての映画は、いくつがあるようですが、
昔に作られた西部劇などの映画では、「インディアン=悪」として描かれ、それを大衆が観ることで、インディアンのイメージを、真実ではない形で、固定してしまったのですね。
アパッチ族という狩猟民族が、血の気が多い、残虐なイメージとして、白人の記憶に残ってしまったからかもしれません。
けれども自分たち(開拓者である白人)の正当性を示すためにも、「インディアン=危険・野蛮・悪」とした方が都合が良かった。
1973年『ゴッドファーザー』を演じたマーロンブランドさんが、自身の賞受け取りの代役として、ネイティブアメリカンの活動家を、アカデミー賞授与式に送った際も、彼女の演説は、観衆のブーイングによって中断させられてしまいました。
映画俳優たちが、立場の低い若き女性に対して、ひどい仕打ちをしたという事実。
でも彼らは、自分たちがしていることが、人種差別だとは気づいていない、ということ。
ネイティブアメリカンが人として、アメリカ人に扱われていない事実が明白になる事件です。
(参考サイト)
しかしその後、インディアンの立場で作られた映画も少しありました。
『ソルジャー・ブルー』『小さな巨人』『ウインド・リバー』などの作品です。
参考サイト
私は、ネイティブアメリカンの原住民の生活だけを、深堀りしたかったので、どれも少しちがうのですが。
過去だけでなく、現在のネイティブアメリカンたちの状況を理解することも、とても大切なことだと思い、『ウインド・リバー』という作品を観てみました。
『ソルジャー・ブルー』も興味がありましたが、この作品は「サンドクリークの虐殺」という、白人が先住民に対して行った大量虐殺が映像化されているということで。一番最初に観るのは、ちょっときつそうでした。
映画『ウインド・リバー』
日本の北海道と同じくらいの北緯にある、アメリカのちょうど真ん中辺りの、アメリカ中西部にある、先住民居留地「ウインド・リバー」という地域で実在する事件だそうです。
インディアンというと、雪山のイメージがなかったのですが、この地域は、冬はマイナス20度、30度にもなる極寒の地。吹雪のなか、外を走れば、肺が破裂して血が凍るほどの寒さの場所。
先住民居留地の現実
先住民の居留地では、アル中や麻薬中毒者が多くいるそうです。
その理由は、仕事・生きがい・希望などがないから。
移民としてやってきた白人によって、ネイティブアメリカンたちは、強制的に、なにもない土地に追いやられ(強制移住)、その後も土地をどんどん狭められていってしまった。先住民たちは、自分の力では生活できなくなってしまいました。
生きる糧としていたバッファローは、白人たちのインディアン滅亡の策略によって数を減らされ、狩猟ができなくなり、
農業をするにも、作物が育たない場所に追いやられ、そこから一歩も外に出ることができず、出たとたんに殺される。
そんな中で生きるには、政府から与えられた配給品を使うしかない。でもその配給される食べ物は、添加物まみれの、体にとって非常に悪影響のある「毒」だった。そのため、それを食べて、生きるための活動もできずに日々を送るなかで、肥満や糖尿病などの病気になり、若くして死んでいく状態なのだそうです。
狩猟民族のナバホ族などは、柔軟な性質をもち、強制移住させられた土地の農耕部族(プエブロ族)などから農業や牧畜の技術を学んだそうですが、ナバホの居留地でウランが発見されたことで、ウランの発掘に、事情も内容も知らされないまま駆り出されることになり、白血病やがんなどになり、命を失ったり、後遺症に苦しめられています。
(ネイティブアメリカンの迫害の歴史を知ることができるサイト。たとえばこんな参考サイト。)
福島と重なるネイティブアメリカンの原発問題
上の参考サイトの最後に書いてあるように、
福島原発の問題と、ナバホ族やその他周辺に住む人々の状況が、まさしく同じ、ということに気づかされました。
そして福島原発で被災された人たちを、一番心配しているのが、ネイティブアメリカンの人たちなのだそうです。
日本人とネイティブアメリカンは、出所が同じ、という説もあるくらい。
自然崇拝をするのも同じです。
太平洋を挟んで、遠く離れているけれど。日本に住んでいる私たちよりもずっと「知っている」のです。「わかっている」のです。
とくに先住民たちが思うことは、「土地を失うということは、伝承されてきた伝統や文化:祭り・宗教儀礼 のすべてを失うことと同義である」ということ。
そのため、被災しても、先祖の守ってきた土地を守り続けたいという被災者の気持ちがわかるのだそうです。
「土地を守る」「伝統を守る」ということ。
今この時に生きている日本人、私たちが、いま一度思い出さないといけない「大切なこと」だと思います。
「合気道 清道館」さんのブログ記事、抜粋させていただきます。
6. 福島と先住民居留地 「辺境」へ追いやられ人たち
お気づきのように、アメリカ先住民の置かれてきた状況は、おどろくほど福島と酷似しています
原発事故でも 人災によって父祖伝来の土地が汚染され住めなくなり、住み慣れた場所から見知らぬ土地へ追われた福島の人たちを、日本人よりも真剣に心配しているのは、鎌田さんの著書によると アメリカの先住民の人たちだそうです。
先祖伝来の「土地」を失う=生きていく糧と同時に、伝承されてきた伝統や文化:祭り・宗教儀礼 のすべてを失うことと同義であり
先住民の男性は、どれだけ汚染されても地域に帰りたいという気持ちがなくなることはないという被災者の気持ちがわかるといいます
海を奪われようとしている辺野古の人たちも同じです。
私自身が当事者であり、人ごとのように言うつもりはありませんが、それでも先住民には今も、自分たちの生活や文化を守り通そうとしている人たちが多くいます。
アメリカには素晴らしい国定公園がたくさんありますが、すべては、もとはインディアンたちのテリトリーでした、国立公園に指定されて以降、彼らは父祖伝来の土地に自由に立ち入ることができなくなりました。
つい先日、ハリウッドでアカデミー賞が発表されました。観慣れている雄大な山の中腹に立つハリウッドの大看板も、アカデミー賞の派手な中継今年は、そこにかつて幸せに暮らしていた先住民たちの幻影を思い、複雑な思いで観ることになりました。
居留地で起きた失踪事件は、闇に葬られる
さて、映画『ウインド・リバー』では、ネイティブアメリカンの女性が、家から遠く離れた雪山で死んでいるのを発見され、FBIの新人女性捜査官が派遣されて来ました。
現実に、居留地で起きた失踪事件や殺人事件は、捜査もされずに闇に葬られてしまうそうです。部族警察やその上の部門が、なあなあのままにしてしまうということ。本気で取り扱ってくれない。
居留地内は、女性の強姦や行方不明が多くある、危険な環境でもあるということ。
一人の人間の命が、重んじられていないという現実。
この映画は2017年に作られたので、今もなお、そのような現状が続いているということでしょう。
同じ大陸の中で。先に住んでいたのに。迫害されて居留地に閉じ込められたまま、自由を奪われている状態。
もう変化してもよいのでは?
と思いました。
以前、「セドナメソッド」というクリアリングメソッドを学ぶワークショップを、東京に受けに行きました。その時に講師だったのが、アメリカ人の元教員の夫婦。
彼らはセドナに住んでいると言っていました。そして女性の方は、アル中者などの更生施設でワークショップを行っていると、言っていた記憶があります。
セドナの近くだとすると、居留地に住むネイティブアメリカンの更生施設なのかも、と思いました。
もう変化してもよいのでは。
最終的には、そう思わざるを得ません。
『ウインド・リバー』の感想。少しネタバレ。
2017年に作られた、わりと新しい映画なので、自然な感じで観られました。
居留地で起きているアル中や麻薬中毒者って、どういうことなの?という疑問も、映像を見たことで少し理解できました。とても危険です。
居留地では今でも、黒髪のネイティブアメリカンたちが住んでいる。そして自然に敬意をはらって、過酷な自然環境の中でも強く生きている。
久しぶりにピストル劇を観ました。ハリウッドあるある。
それから新人FBI女性のキャラが受け持つことになった、ちょっとしたセクシーシーン。その部分がないと、観客の興奮を呼べずに、ハリウッドの作品として成り立たないんだなと感じました。
強姦のシーンも少し出てくるのですが。作者が伝えたのは、ネイティブアメリカン女性の、戦士のような強さ。精神も、体力も、犯罪者よりずっと強い姿。
最終的に、登場人物のハンターのおじさんが、死んだ少女とその父親の仇を打った形になり、その仇打ちの方法が、心のすっきりするものでした。
それから、亡くなった女性の父親は、18歳の彼女のことを「大人」と呼んでいたけれど。たしかに、ませている大人の姿を描いていました。まだ純粋性をもつ年頃の、危うい大人像。アメリカ自体が、そういう民族性なのでしょうか。どこの若者も火遊びが好きということでしょうか。
おわりに
ネイティブアメリカンについての映画。もう少し調べてみようかなと思いました。
今は、kindleの電子ブックで、ホピ族の英語版を読んでいます。
ネイティブアメリカンマニアになりたいわけではなく、先住民たちの古来の生活様式、自然に寄り添って生きてきた精神性を学びたいのです。
kindleの電子ブックは、わからない英語があったら辞書機能で調べられるのがよいですね。おととしくらいに買ったまま、本棚に眠っていたので。今後は英語勉強ツールとして使おうかなと思いました。
10年間、英語の書籍を、単語と文法がわからない状態で読み続けたら、少しは英語力が上達するでしょうか。
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