家にネズミが出没
去年のこと。家の中にネズミが出没しました。
家族の一人が大量に、銀杏(ぎんなん)の実を保存していたのが一番の原因。開け放たれた外の倉庫に、銀杏の山が無防備に置いてありました。
ネズミは銀杏貯蔵庫を手に入れて、大変ご満悦。
掃除の際、部屋の隅にライ麦くらいの大きさの、黒い糞を見つけるようになりました。銀杏の殻も落ちていて。誰もいないときに、その場所で食べていたようです。
ネズミ本人の姿を目撃することはなく、見るのは乾燥しきった糞と銀杏の殻だけだったので。一体何者が、部屋の中に忍び込んでいるのか定かではなく。このころはまだ、「ネズミかぁ」と、少し困ったくらいの心境でした。
ネズミは大胆になってくる
そのうち、ネズミは大胆になって。家の天井裏で、頻繁に足音が聞こえるようになりました。
さらには天井裏から壁を伝い、床下に移動するという芸まで披露するようになりました。
壁の中に、ネズミが移動できるスペースがあるなんて、その時はじめて知りました。
でも天井裏も壁の中も床下も。人間の目で実際に確認することができません。どんな種類のネズミがいるのか、見当がつきません。
ネズミの被害でよく聞くのが、「電気コードをかじられて火災の原因になる」「家の中で繁殖して、一匹だったネズミが何十匹にも増え、糞やおしっこ、食べかすなどが放置されることで、虫がわき、カビが生え、病気や家の劣化の原因になる」など。
トコトコトコという素早い足音を聞きながら。頭の中で妄想するネガティブなイメージは、精神的ストレスをおよぼしはじめます。
ネズミの種類
家に居座ってしまったのは、ネズミ?それとも他の動物?
もしネズミなら、どんな種類のネズミ?
調べてみると、人間の生活環境に出没するネズミは3種類。それぞれ大中小の大きさに分けられます。
大きなネズミはドブネズミ。湿気のある場所、水路などにいて、性格は凶暴。噛まれる危険がある。体が大きく体重が重いので、行動範囲は地上だけ。
小学校の用務員をしているおじさんが、学校の水路工事の際に、ドブネズミがあとからあとから、上に上がって来ようとして大変な目にあったと言ってました。
中くらいの大きさのクマネズミ。動きが機敏で、サーカスの曲芸師みたいな運動能力がある。家の天井裏を住処とすることも多く、壁を伝って上下移動も難なくこなす。
小さなネズミはハツカネズミ。畑など野の環境がある場所にいる。家の敷地では、倉庫の中に放置してある段ボール箱の中などに巣を作ることがある。
それぞれのネズミの糞も、体にあわせて大中小の3サイズ。
うちの部屋に落ちていた糞は、クマネズミかハツカネズミのサイズのもの。
そのうち、壁の上下移動をするのはクマネズミ。どうやら、うちに入り込んでいるのはクマネズミらしいと判明しました。
栗泥棒
秋のころ。人から頂いた栗が、ざるに入った状態で、玄関のスリッパラックの上に置いてありました。
そして事件が起きました。
栗の数が、日を追うごとに減っている気がした、ある夜のこと。
真っ暗な玄関から物音が。急いで電気をつけたら、スリッパラックから誰かが素早く逃げて、物陰に隠れながら姿を消しました。
急いで逃げたせいで、栗が床に投げ落とされて。ざるの中には黒い土汚れが。犯人は土足で忍び込んだらしい。
ネズミが、とうとう姿を現した!
逃げた場所は、玄関下の奥にある、地面に続く狭い空きスペース。
翌日、玄関下を覗き込んでみたら、片隅に銀杏の殻がいくつか置かれてありました。
開いたままの外倉庫(銀杏専用倉庫)や家の中から銀杏を持って来て、玄関下や部屋の物陰で、食事をしていたらしい。
ネズミ駆除方法
家の中にある食物に手を出すようになったら、もうアウト!
実際にネズミ駆除に取りかからないといけません!(遅い?)
ネット検索で調べて出てきた、ネズミ駆除・捕獲用グッズは、以下のようなもの。
- ネズミの嫌いなにおいを放つ忌避剤(ミントや猫のにおいがする)
- ネズミを驚かすために回転灯を設置する
- ネズミの脳を混乱させる音波が流れる機材
- 煙を出して駆除する、くん煙剤
- 猫を飼う
- ネズミ捕獲器
- ネズミ用の毒餌
- ネズミ用の粘着シート
- 猫に警備してもらう
ネズミ駆除グッズ
ネズミ駆除グッズは、ホームセンターで売っていました。
メッシュの箱や、板にバネがついた捕獲器は、昔から利用されていたように思いますが。ネズミが罠にかかった途端に勢いよく閉まる構造なので、ネズミの体や尻尾が切断されてしまう危険があります。そうすると、辺りは血だらけになってしまい、後始末が大変です。
また捕獲器に仕込む餌は、夏場は特に、虫がわいてしまうので、逆に不衛生になってしまうリスクがあります。
昔から、ネズミ用の毒団子があったように思います。
今売られている毒餌は、ネズミが食べてもすぐには死なないようです。毒餌を巣に持ち帰り、他のネズミたちも毒餌を食べるので効率が良い。毒餌を食べ続けるうちに毒の効果が出てきて駆除できるというもの。
毒餌を食べたネズミが、天井裏など家の中で死んだ場合、撤去できないので不衛生になるリスクがある。
それに、うちの敷地には地域猫が住んでいます。万が一、猫が口にしたり、毒餌を食べたネズミを食べてしまうリスクがあるので、選択肢に加えられませんでした。
それに巷では「スーパーラット」という毒餌が効かないクマネズミたちがいるそうです。
進化を重ねて、毒餌に負けない免疫を持つようになった。生命力がすさまじい。
ネズミが嫌がるにおいを発する忌避剤。
ジェルの入った芳香剤のような姿です。ミントのにおいがします。
これを、ネズミが出没する場所や天井裏などに設置しておくのですが。ネズミは馴れてしまうので、「確実に駆除できる」ことはないでしょう。
とくにクマネズミは頭が良く、経験をつむことで危険ではないと理解します。
ミントの香りは、さわやかなので、人間側の心の満足程度の役割はあると思います。
天井裏などで使用する、煙剤です。
煙とともに、ミントや唐辛子などネズミを撃退させる成分が発射され、ネズミを退散させます。
よさそうですが、実際にやるとなると大変そうなので、買うのを決めかねました。
それに、効果が薄れれば戻ってくる可能性大。くん煙剤に慣れてしまうネズミもいるらしい。
くん煙剤を使うときの注意としては、火災探知機のそばで使わないこと。家電製品に煙がかからないように、しっかりとカバーをかけるなどの事前準備が必要、だそうです。また自分自身が煙を吸わないように、人間側もマスクや眼鏡などで防衛し、駆除が済んで換気をするまでは、その場所には近づかないこと。ペットにも近づかせないこと。体調が悪くなる恐れがあります。
ゴキブリホイホイのネズミ版。ネズミの出没する場所に設置しておきます。
粘着力は強力で、人間ですら引っかかると取れません。取るためには、ベビーパウダーなどの粉をふりかけるそうですが。大変なことは容易に想像できます。ネズミ以外の生き物が引っかからないように、慎重を期して使用する必要があります。
イギリスでは、ネズミを捕獲するための粘着シートは「非人道的」との批判により、使用を禁止する法律が成立したそうです。
人間の耳には聞こえない、ネズミが嫌う音波を発する装置を設置する。
装置はホームセンターやAmazon、楽天市場などで売っています。
でも私は、ヘッドホンのホワイトノイズが騒音に聞こえるほどに聴覚が敏感。人間の耳には聞こえないからと言っても、体は感じ取ります。その音波はきっと、生き物すべてにとって不自然な周波数のはず。人、ペット、植物、家屋、PCなど、なにかしらに悪影響が起きるのが面倒で、手を出せまんせんでした。
それに超音波装置は値段が高いです。失敗したらゴミです。
また音波は振動なので、広いスペースにただ置いただけでは効果がありません。
ネズミの通り道や住処に、直接音波が届かないと意味がありません。
天井裏など、壁をはさんだ向こう側に巣がある場合は、部屋に置いただけでは通用しないようです。
アメリカで使用されている、壁につけると家全体に音波が伝わるという、強力なタイプの装置もあるようですが。値段が高い。それに、そんな強力なもので家屋全体を包まれていたら、住んでいるものすべてに影響をおよぼしそうで。リスクがあるように感じました。
駆除業者の方によると、超音波装置は効果がないとのこと。
その代わり紹介されたのが、YouTubeで「ネズミが嫌がる音」などで検索するとトップの方に出てくる「SLEEP MAN」という方の音源。この音源を、タブレットなどで24時間、ネズミの通り道などに設置して流し続けると、ネズミが寄りつかなくなるらしい。
ネズミを捕獲する
今回は、ミントの香りの忌避剤と、粘着シートを選びました。
忌避剤は天井裏に設置してみました。
粘着シートは、玄関下の奥に。猫や鳥などが引っかからない場所に並べて設置してみました。
ちなみにネズミ捕りの罠のことを、格好よく英語読みで「トラップを仕掛ける」などと言うようです。
ネズミは頭が良い
クマネズミはバカじゃない。頭が良いです。
節操なく行動することはなく、彼らなりの成功法則にのっとって行動しているように思えます。
実際に、栗泥棒が発覚した翌日に、粘着シートを設置しましたが、ネズミはかかっていませんでした。
危険なことがあると、ワンクッション置くように思えます。
非常に頭が良いネズミ。けれども裏を返せば。頭が良いからこそ頭が回る。興奮状態になることが多いのではないか。
栗泥棒が発覚してから3日ほど経った日の朝。玄関下を覗いてみると、一匹かかっていました。
かかったネズミは、栗泥棒本人でしょう。栗をゲットするという衝動にかられ、アドレナリンが出ていたに違いない。
シートにかかったクマネズミは、ぬいぐるみのようにかわいい姿です。発見したときは、まだ生きていました。
人間や音に反応して、逃げようと体を動かすと、粘着シートにくっついた部分に血がにじんでしまいます。
これ以上粘着シートがつかないように、新聞紙をはさんで紙袋に入れて、お花も入れて。母がお線香をあげました。偶然、清掃工場に行く予定があったので。自分たちの手で清掃工場(火葬場)に持って行きました。
その日の夜、母の夢の中に、若い青年の姿で出てきたネズミが「お線香まであげてくれて、ありがとう。大丈夫ですよ」と言ってくれたらしい。
その日以来、数日間はネズミの気配がなかった。家にいたのは、あの栗泥棒一匹だったのかと。さびしい気持ちにもなってしまうほど。
もう必要ないだろうと思って、粘着シートも撤去して間もなくのこと。
天上裏から、あらたにネズミの足音が。
ネズミ駆除は終わっていなかった。
コメント