たい肥で使うなら、牛糞より馬糞

野菜を育てるために使われる「牛糞」は、家畜の牛のウンチです。

たとえば乳牛は、毎日お乳を出すために、抗生物質を打たれているそうです。

抗生物質とは、「化学的な薬剤」。抗生物質を打たれた牛のウンチには、抗生物質が入っています。抗生物質の入ったウンチが堆肥となって、畑の土の中に、その成分が入ってしまう。以前お世話になった、自然栽培教室の農家さんに教えてもらった話です。「だから、使うなら牛糞ではなく、せめて競走馬などの馬糞がいい」と。競走馬は家畜のように、むやみやたらに抗生物質を打たれないのだそうです。

抗生物質が畑に入ってしまうと、病害虫の発生の原因になるでしょう。「病気に強い牛糞堆肥」と、堆肥の袋に書いてありましたが。結局のところ、病気に強くなるように、中に入れるものが後々操作されただけで。抗生物質が混ざっていることに変わりありません。病気に強くなる物質が入れられたことで、ますます畑の中の微生物の世界が、こんがらがって、影響を受ける。

他の方の経験では、牛糞たい肥を入れた年は、野菜がよくできる。でも翌年、翌々年に、野菜に病気が出たり不安定になったという。不安定になった土の状態を改善するためには、またなにか手を加えないといけないのか。化学薬品に手を出す思考が働くことになるか。

牛糞堆肥の成分が抜けるのは、2,3年くらい経ってからだという。

「有機栽培」で使われる動物たい肥や植物性肥料。たしかに名前だけ聞けば「自然のもの」だけれど。牛や鶏は、野生のものではなく「家畜」で、化学的な手が加えられている、本来の自然そのものの状態ではありません。油かすなどの植物性肥料も、自然の植物ではない。畑で栽培されて薬剤を撒かれたもの。ホームセンターで目にする、たい肥や肥料の袋。私たち消費者には、その袋の中身が、どういう経緯で作られたのか、もちろんわからない。でもこの世界は「循環」で成り立っていて。どこかに負荷がかかれば、別のところにも負荷がかかる。まわりまわって世界中に負荷がかかっている状態。

できるだけ純粋なものを選択したいと、もちろん思っている。でも選択する段階で、どれが純粋なのか。今の時代は、すべてが混とんとしていて、見分けがつきません。

せめて負荷のない方を選択することで、変わっていく歯車のひとつになりたいものです。

土の中に、なにかを入れないと野菜は育たないのか。育つかもしれないけど、今は入れないと育たないのか。目の前にある土の状態を見ただけでは、先の未来はわかりません。だけど、入れたものの影響によって、その先になにかが起きる可能性があると、なんとなくわかるかもしれない。そのことに気づいているだけでも、知らないよりは。なにも知らない自分だからこそ、自然の摂理が見えないなら。まずは自然を観察するところから。

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