ノコギリ鎌で草刈り

4月上旬の草

4月になりました。

茶色い地面に、緑色の部分が広がってきています。

草刈りをはじめる季節です。

ノコギリ鎌

のこぎりがま

私の畑作業に欠かせないのが「ノコギリ鎌」です。

刃の部分が長くて、ギザギザしています。

鎌を利き手で持って、もう片方の手で、刈る草を、引っ張り気味につかんで刈り取ります。

やわらかい茎の雑草だったら、鎌を持つ手だけで刈り取れます。

鎌は刃物なので、研ぐメンテナンスが必要です。定期的に研ぐことで、よく刈れる状態が続きます。

ふつうの鎌の場合は、平面の両面鎌研石を使いますが、ノコギリ鎌は、ギザギザの小さな面を研げる細身の研石が必要だそうです。

私は、ノコギリ鎌を使い始めて5年くらい経ちますが。今だ研いでいません。

切り口は、ゆるやかになったと思いますが。とくに問題なく刈れています。使う頻度が少ないのかな。

生長点を刈り取る

草を刈るときは、「生長点」から刈り取ります。

ノコギリ鎌を刃先から、刈る草めがけて地面下に潜らせて。

茎と根の間にある、かたく丈夫な部分「生長点」を刈り取ります。

生長点から刈り取った草
茎と根の間にある生長点を切る

根は、土の中のネットワークの一部になっていて。微生物たちの住処や食料にもなるので、土の中に残しておいてよいのです。

地面の上に出ている草だけ刈っても、地面下にある生長点が残っていると、そこから再び新しい芽が生えてきます。

生長点から刈れば、再び生えることを防ぎ、根の部分だけ土の中に残すことができます。

土の中に残った根は、土壌の微生物や動物の住処や食料になり、いずれ分解され、養分となって土に還ります。

草マルチ

生長点から刈った草は、そこら辺の裸の地面の上に、寝かせて放置しています。

枯草や刈った草を使って土の表面を覆う(マルチング)ので、「草マルチ」といいます。

土の表面に草マルチすることで、雑草が生えてくるのを抑制したり、土の乾燥防止、微生物たちのごはん、クモやトカゲなど益虫たちの住処になります。

私が草マルチにする理由

畑では、黒いビニールマルチを使う人が多いですが。私はとても面倒くさがりだし、畑作りをソロでやっているので、ビニールマルチの購入費、設置する手間、剥がす手間が大変時間がかかるし、不燃ごみとして捨てることにもストレスがかかるので、使っていません。

そしてビニールマルチをしているときに切なかったのが、「クモが来ない、益虫たちの環境づくりができていない」というものでした。

アブラムシなどの害虫が発生すると、人の手でなんとかしないといけませんでした。

牛乳スプレーも一回だけ試しましたが、おかしなかんじなので断念。結局、100均で購入したナイロン製のハケ型絵画用絵筆とミニ塵取りで払い落とすと、案外簡単にアブラムシたちが小気味よく落ちて成功でした。

しかし、アブラムシを払い落とすと、黒いビニールマルチの上にたくさん落ちるのですが、その後の撤去が面倒くさい。塵取りにかき集めるのが、思いのほか面倒だし、まだ生きてるのに、どこに捨てればいいんだと途方に暮れる始末。しかも小さいぶつぶつが見るからに良い光景ではありませんでした。

草マルチの利点

もし草マルチだったら。勝手に土に還るので撤去の必要はなく、草の間にクモなどの益虫が住んでくれるので、害虫駆除にもなります。ビニールのように、太陽熱で暑くなることもなく、土の中が群れることもないので、変な菌が増殖することもないのでは?と私個人では、そう思ったりします。

夏は暑い日を避けて、土壌中の微生物や動物たちの避暑地になり、冬は霜が立つのを防ぎ、越冬する野菜たちの株元が冷えて凍って腐るのを守ってくれます。

草が積み重なれば保温できて、保水もするから、冬も夏も、害がないのが草マルチ。

クモが住処にしてくれる環境を作れたことの喜びが、個人的にはとても大きいです。

益虫たちが駐在していれば、害虫を駆除してくれます。

小さな自然の循環を成り立たせると、人間が手を入れなくてもよい環境が出来上がります。

「根っこごと抜いてしまったら、根を逆さまにして置いておく」。自然栽培の教室で教えてもらいました。こうすることで、根が再び土に根づくのを防ぐと。

根づく前に根が枯れると、再び根づくことはないと感じます。

ひっくり返した草
刈った草の根をひっくり返しておき、再び根づくのを防止

中厚鎌(なかあつがま)

去年、一年間。我孫子にある自然農園の一畝オーナーになりました。そこで経験したのが、旺盛に成長し生い茂った夏の草刈り。今まで小さな家庭菜園しかやっていなかったので。畑が大きくなれば大きくなるほど、草刈りの体力がものすごく必要になることを実感しました。

我孫子の自然農園でおすすめされたのは「中厚鎌(なかあつがま)」でした。

中厚鎌は、普通の鎌よりも大きいです。

数回使ってみましたが、私はノコギリ鎌に慣れてしまっていたせいか、中厚鎌は大きすぎて扱いがむずかしく。すねに柄を打ちつけてアザを作りました。

私にとっては扱いづらい中厚鎌。

でも夏の草刈りでは、生い茂った太い草を、細身のノコギリ鎌で刈ることがむずかしいことが判明。はじめてノコギリ鎌が根負けした。

そこで中厚鎌にお世話になりました。

それでも夏の草は強力で。鎌を持つ手に力が入らなくなった。筋肉が疲れたからか、精力的に灯が消えたのか。

草刈鎌と刈払機の使い分け

夏の草刈りでは、機械の刈払機が最強ですが。小さな家庭菜園では、しゃがんで草と対話しながら、手と体を動かすことがセラピーになります。

4月、5月は、緑が美しい時期です。そこを過ぎると、美しい緑が「雑草」に見えてきます。

我孫子の畑では、はじめて刈払機を使いました。ものすごい振動、音。力も必要。防御するシールドやグローブも必要。

草、あなどれません。

ある年の8月に、出雲の風土記の丘に行ったとき。ちょうど稲を機械で脱穀している光景に出会いました。

そしてあちこちで、広大な雑草畑を刈払機を使って除草作業する人の姿も見ました。その中には高齢の女性もいました。おばあちゃんになっても、あのワイルドな刈払機を使って雑草を刈るのが当たり前なのです。機械を使わないといけないくらい雑草の範囲と規模が大きいのです。大変。でも強い。だから「生きる」と実感できるんだろうなと思いながら。

私は小さな存在ですが。今目の前にある小さな雑草を、誠実に刈っていきたいと思います。

これから秋の終わりまで。草刈りのメンテナンスを、ちょこちょこ、やっていきたいと思います。

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